「ちりんぼう」「おとがね」と呼ばれる鉄棒(かなぼう)です。柄に朱漆、棒身に黒漆が塗られ、先端の猪の目金具には金泥が塗られた痕があります。製作時期は分かりませんが、猪の目金具を取り付けている箇所は精巧に出来ています。井出正信さんの「江戸の十手コレクションⅡ」６８、６９ページに同形の鉄棒が掲載されています。この種類の鉄棒は警棒として江戸から明治、大正、昭和初期頃まで使われていました。柄を持って棒身の先を地面に引きずって２、３歩進んでは地面に打ち付けて“ガチャン”と音を出すので「おとがね」と呼ばれていました。祇園祭の山鉾巡行の映像を見ていた時に、山鉾を先導する係の人が同形の鉄棒を引きずって歩いていたので、現代でも使用されている事を知り驚きました。漆の剥離、時代の錆があります。長さ１５３㎝ 重量２.４５キロ古い武具にご理解のある方、よろしくお願いいたします。